(平成27年6月17日理事(研究担当)決裁)

 本ガイドラインは,広島大学における研究活動に係る不正行為の防止及び対応に関する規則(平成27年4月28日規則第98号)第3条第4項に定める広島大学における研究資料等の保存に関し基本的な考え方を示すものである。なお,ここでいう研究資料等とは,資料(文書,数値データ,画像など),試料(実験試料,標本など)及び装置等の研究成果の発表に至る一連の研究活動で作成した,あるいは使用したものを指す。

(趣旨)
 科学研究の健全な発展は、研究・調査データの記録保存や厳正な取扱いを行い、研究者等自らの研究活動が科学的に適正な方法と手続きに則って行われたこと,論文等もそれに基づいて適切に書かれたことを科学的根拠を示して説明することに立脚している。
 万が一にも研究不正の疑念がもたれるようなことが生じたときは,自己の責任において科学的な説明をすることが求められており,そのためには研究資料等を適切に保存する必要がある。
 また,研究活動が公的資金によって実施され,生み出された成果やその元となるデータ等は公的資産としての性格を有することから,適切な管理・保存・必要に応じて開示することは,研究者等に課せられた責務でもある。

(基本的な考え方)
(1) 実験・観察をはじめとする研究活動においては,その過程を実験ノートなどの形で記録に残すことが強く推奨される。実験ノートには,実験等の操作のログやデータ取得の条件等を,後日の利用・検証に十分な情報を記載し,かつ事後の改変を許さない形で作成しなければならない。また,実験ノートは研究活動の一次情報記録として適切に保管しなければならない。

(2) 論文や報告等,研究成果発表のもととなった研究資料等は,後日の利用・検証に堪えるよう適正な形で保存しなければならない。保存に際しては,後日の利用,参照が可能となるようにメタデータの整備や検索可能性,追跡可能性の担保に留意するべきである。

(3) 資料の保存期間は,原則として,当該論文等の発表後10年間とする。電子化データについては,メタデータの整理・管理と適切なバックアップの作成により再利用可能な形で保存する。なお,紙媒体の資料等についても少なくとも10年の保存が望ましいが,保管スペースの制約など止むを得ない事情がある場合には,合理的な範囲で廃棄することも可能とする。

(4) 試料や装置など「もの」については,当該論文等の発表後5年間保存することを原則とする。ただし,保存・保管が本質的に困難なもの(例:不安定物質,実験自体で消費されてしまう試料)や保存に多大なコストがかかるもの(例:生物系試料)についてはこの限りではない。

(5) 研究室主宰者は自らのグループの研究者等の転出や退職に際して,当該研究者等の研究活動に関わる研究資料等のうち保存すべきものについて,(a)バックアップをとって保管する,ないしは,(b)所在を確認し追跡可能としておくなどの措置を講ずる。また,研究室主宰者は自らの転出や退職に際して,(b)を可能とするよう情報を整理し,後日,本学からの情報提供の要請があったときは,それに応じることができるように措置を講ずる必要がある。

(6) 個人データ等,その扱いに法的規制があるものや倫理上の配慮を必要とするものについては,それらの規制やガイドラインに従う。また,特定の研究プロジェクトに関して成果物の取り扱いについて資金提供機関による取り決め等がある場合にはそれに従う。

(7) 研究資料等の保存に関して必要な情報を整理するため,研究資料等保存に関する情報整理票の雛形を別紙に示す。


別 紙

 研究資料等の保存にあたって,その所在や保存期間を把握するために整理が必要と思われる基本的な情報を情報整理票として以下に示すので,参考にしてください。
 この情報整理票は雛形ですので,実際の運用においては,研究分野の特性などを考慮して改変していただいて構いません。また,他の適切な方法により管理する場合は,それによってください。
 なお,(5)の研究者等の異動(他機関等に転出,退職等)の際は,研究資料等の亡失や所在不明となることが危惧されることから, 研究資料等の情報の把握に努めることが必要になります。